Poitto はなぜ生まれたか #1 — 原体験:車が私に教えてくれたこと
免許を取って初めて手に入れた一台で走った海辺の夜。エンジンが冷える音を聞きながら、私は車という空間が運ぶものを知った。Poitto誕生の物語、その原体験を綴る第1話。
免許を取って初めて手に入れた一台で走った海辺の夜。エンジンが冷える音を聞きながら、私は車という空間が運ぶものを知った。Poitto誕生の物語、その原体験を綴る第1話。
免許を取って、初めて手に入れた一台で、私は夜の海まで走った。隣には友人。月が出ていて、潮の匂いがして、波の音だけがやけに大きく聞こえた。
エンジンを切ると、ボンネットの奥から「カチン、カチン」と冷えていく金属の音がした。あの音を、私は今も覚えている。自分の車で、自分の意思で、ここまで来た。たったそれだけのことが、二十歳そこそこの私にはとても誇らしかった。
はじめまして。Poittoという小さなアプリを、夜と週末を使って作っています。車に長く関わる仕事をしながら、転勤で一度愛車を手放した時期があり、改めて「移動中の、自分だけの空間」の大切さを思い知った人間です。
今の愛車は、ある国産SUV。サラリーマンには少し背伸びした買い物でしたが、洗練された見た目と先進の安全装備に触れたくて選びました。手放していた数年があったぶん、ハンドルを握り直した日のことは忘れません。
子どもの頃の話をひとつ。私は、エンジン音やドアを閉める音で、家族の誰が帰ってきたかが分かる子どもでした。同じ車種でも、一台ずつ音が違う。クセが違う。「車は一つとして同じものはない」と、本気でそう感じていました。
大人になってからも、その感覚は消えませんでした。家族と二人きりで車に乗った帰り道、リビングでは絶対に出てこなかった言葉が、ぽつりぽつりと交わされたこと。北海道を一周したとき、知らない土地の小さな食堂に立ち寄り、出発から目的地まで地続きに自分の足で辿った感覚。
特別な空間だから、特別な時間が生まれる。私はずっと、そう思ってきました。
振り返れば、車に乗っていた時間は、ただの移動ではありませんでした。誇らしさ、ぎこちない会話、見たことのない景色。それらは確かに、私の中に残っています。
——では今、私たちのカーライフは、あの頃と同じ何かを残してくれているだろうか。
次回はその違和感の話を、もう少し正直に書こうと思います。
Poitto 開発チーム