はじめてのアルコールチェック記録簿 — 誰が確認して、誰が書くのか
アルコールチェックの記録簿を用意することになった総務・事務の方へ。決まった様式はありません。決まっているのは書く中身と、確認する人が誰かです。記録する8項目、運転者本人では完結しない理由、直行直帰のときの方法、1年間の保管までを順に。
アルコールチェックの記録簿を用意することになった総務・事務の方へ。決まった様式はありません。決まっているのは書く中身と、確認する人が誰かです。記録する8項目、運転者本人では完結しない理由、直行直帰のときの方法、1年間の保管までを順に。
「アルコールチェックの記録簿を用意しておいて」と言われて、まず探すのは様式です。
決まった様式はありません。 ExcelでもGoogleスプレッドシートでも、印刷した紙でも差し支えありません。都道府県の警察がExcelファイルの様式例を配っているので、それをそのまま使うこともできます。
代わりに決まっているものが2つあります。書く中身と、確認する人が誰かです。この2つ目が、様式を用意する側にとって重要になります。
この記録簿は、運転者が自分で書いて完結する形にはなりません。
| 誰が | 何を |
|---|---|
| 安全運転管理者(社内から選ばれた1人) | 運転者の状態を確認する。この確認そのものが法律上の業務 |
| 運転者 | 検知器で測り、結果を報告する |
| あなた(総務・事務) | 様式を用意し、記録を集めて1年間保管できる形にする |
記録する項目に「確認者名」が入っているからです。誰が運転者を確認したかを残す欄なので、運転者が自分の分だけを書いて終わりにはできません。
実際に書き込む作業を誰がするかは別の話です。運転者が自分の欄を埋める運用でも、確認した人の名前が記録に現れている必要があります。
なお、何台から安全運転管理者が必要か、誰を選べるか、どこへ届け出るかは はじめて安全運転管理者を任されたら にまとめました。
| # | 項目 | 補足 |
|---|---|---|
| 1 | 確認者名 | 確認した人。運転者本人ではありません |
| 2 | 運転者 | — |
| 3 | 自動車登録番号または識別できる記号・番号 | ナンバー、または社内の車両番号 |
| 4 | 確認の日時 | — |
| 5 | 確認の方法 | 対面でないときは、その具体的な方法まで |
| 6 | 酒気帯びの有無 | 数値ではなく「有・無」 |
| 7 | 指示事項 | 何か伝えたことがあれば |
| 8 | その他必要な事項 | 自社で残したいものがあれば |
このうち5番と6番には、それぞれ理由があります。
運転を始める前と、運転を終えたあとの両方で確認します。目で見て確かめることに加えて、アルコール検知器を使った確認も行います。
義務は2段階で入りました。目で見る確認と記録・1年間の保管が2022年4月から、アルコール検知器を使った確認が2023年12月からです。
1日に何度も車を使う仕事でも、記録は1人につき1日2行で済みます。運転のたびに測り直す必要はありません。
直行直帰や出張で、安全運転管理者と運転者が顔を合わせられないことがあります。その場合に認められている方法が2つ示されています。
カメラやモニターを使う方法 安全運転管理者が、運転者の顔色や応答の声の調子を画面越しに確かめたうえで、検知器の測定結果も確認します。
電話や業務無線など、直接話せる方法 安全運転管理者が声の調子を確かめ、運転者に測定結果を報告させます。
どちらにも共通しているのは、安全運転管理者が運転者の状態を自分で受け取っていることです。測定結果の数字だけがメールで届く形は、この2つのどちらにも当てはまりません。記録の5番に「確認の方法」を書くのは、ここを残すためです。
呼気1リットルあたり0.15ミリグラム以上という数字がよく引用されます。これは酒気帯び運転として罰則の対象になる基準です。
一方、記録簿に書く6番の項目は「酒気帯びの有無」で、測定値そのものではありません。つまり、0.15を下回っていれば運転させてよい、という線として置かれた数字ではありません。
検知器が示した数値をどう扱うかは、法令が決めているのではなく、会社が決めることになります。 数値は記録に残しておき、運転させるかどうかの判断は人がする。この2つを分けておくと、記録簿の様式も社内のルールも組み立てやすくなります。
アルコール検知器については、「常時有効に保持する」ことが求められています。正常に作動して故障がない状態を保つこと、取扱説明書に沿って使い・管理し・保守すること、そして定期的に故障がないか確かめることまで含まれます。
買って事務所に置いてある、という状態では条件を満たしません。確認そのものが業務に含まれているので、誰がいつ点検するかも決めておく必要があります。
紙に手書き 警察が配っている様式例を印刷して、事務所に置いておく形です。全員が毎朝事務所に寄る会社であれば、これがいちばん手間がかかりません。

Excelやスプレッドシート 様式例がExcelで配られているので、そのまま使えます。集計しやすい反面、ファイルの置き場所と入力する人を決めておかないと散らかります。やり方は Excelで車両管理をはじめる に書きました。
アプリやクラウドのサービス 運転者がスマートフォンから報告し、安全運転管理者が画面で確認する形です。直行直帰が多い会社で使われます。
どれを選んでも制度上は問題ありません。 紙か電子かにも決まりがないからです。判断の材料になるのは、直行直帰がどれくらいあるかと、運転する人数の2つです。
確認者名を空欄にしない いちばん抜けやすい欄です。運転者だけが埋まっている記録は、確認したことの証拠になりません。
メールやチャットだけの報告にしない 声の調子を確かめることが前提になっているので、文字だけのやりとりは認められた方法に当てはまりません。
1年たった記録から捨てる 1年間の保管が求められています。ためる一方にすると、どこから捨ててよいか分からなくなります。
書き込む作業を誰がするかと、確認した人が誰かは別の話です。記録に確認者名が現れている必要があります。 運転者が自分の欄を埋める運用でも、確認は安全運転管理者が行ったうえで、その名前が残る形にしてください。
項目に挙げられているのは「酒気帯びの有無」で、測定値そのものではありません。ただし8番に「その他必要な事項」があるので、数値も残す運用にすることは差し支えありません。残すかどうかは会社が決めます。
副安全運転管理者を置いている事業所ではその人が、置いていない事業所では、あらかじめ決めておいた補助者が確認することになります。当日になって決めると記録の確認者名が空きます。 誰が代わるかは事前に決めておいてください。詳しい扱いは、届出をした警察署に確認してください。
関連して読む
根拠: 安全運転管理者業務の拡充(埼玉県警察)(記録する8項目・対面によらない確認の方法・常時有効保持の意味・確認は業務の開始前と終了後で足りること)/安全運転管理者の業務の拡充等(警察庁)(施行日・1年間の保存)
様式は配られているものを使えます。手が止まるのは、そのあとです。誰が確認者になるのか、その人が休んだ日は誰が代わるのか、集めた記録をどこに置いて1年後にどう捨てるのか。 ここを決めるのが、用意する側の仕事になります。
決めたあとも、直行直帰が混じると記録が事務所に集まりません。電話で報告を受けて、あとから転記する。この転記が、人数の分だけ積み上がっていきます。
転記をなくすために、Poitto for Biz(開発中)を作っています。運転者はスマートフォンアプリで報告し、管理者はWebで確認します。
Poitto 開発チーム